2003 12 04  

9・日本のGROUP SOUNDS(その2・ヒッピー・ファッション系)

―――日本にこんなROCKシーンもあったのだよ―――

 (その1)で書いた“ユニフォーム系”に対して、“アンチ・ユニフォーム系”というかめいめいなファッションで、ま、STONESから発してBEATLESだって後期はバラバラなカッコだったし、インドやWoodstockConcertの影響で皆そんなだったから、ま、“ヒッピー・ファッション系”でいいかな、と。
だからGeorge Harrisonに多大な影響を与えたインドのシタール奏者Ravi Shankarも、70年手前だったと思うけど興味津々で見に行きその神秘的な音に感動したわ。で、数年後にまた来てまた行ったら、まったくメニューが同じっぽくてシラケたの覚えてますわー、意外と営業っぽいのね、って。しかし、こないだ“Don't Know Why”でグラミー賞もらったNorah Jonesが、その娘だったとは何だか妙にビックリしたけど。
ま、70年代リアルタイムな私にとっては、“ヒッピー”はカウンター・カルチャーの象徴、いわば反戦、反体制、反既成概念ってやつでモロ共感・影響されちまったすが、ちょい若い<監修・Tazu>さんなんかは“ヒッピー”っつーのは「バッチい人たち」ってイメージあるそう。ま、時同じくして日本では“フーテン族”なんていうのいたからそう思うのかもと、などと説明してみましたっす。
だから当時はカッコよかったわけっすよ、ヒッピー・ファッションが、ね。で、いちばんカッコよかったグループは? 思いっきり知ってる人少ないだろうけど、APRYL FOOLっしょねー。これは“伝説の”というタイトルをつけたいグループだったのだ。
桑沢デザインの学生の時(69年)、ROCK好きなクラスメート・ジュンコとよくコンサート行ってた。で、何やらカッコよさそうなライブあるよ、っていうんで、どこだったっけな、たぶん芝の郵便貯金ホールとかそんなとこ(ガラ空きだったけど)。
しかし、ブッとんだ!「こんな連中日本にいたのぉ〜?!!」。ベロアのマキシのコートやベルボトムパンツ、アフガンファーのベスト、チープじゃないメッチャカッコいいヒッピー・ファッション、もちろん皆ロン毛で個性ある面構え。カッコだけでなく音も、世間はグループサウンズが全盛だったけどもう“歌謡ポップス”化してたから、「ロ、ロックだぁ!」って、すごい衝撃、歌詞は全部英語でオリジナル。
興奮した私たちはいきなしお近づきになって、何とその年の桑沢の学園祭に出演してもらったのだ(今思うと当時内向的だった私が、何でそこまで積極的に物事が運べたのかまったく覚えていないのだすが・・)。教室ブチ抜いたホールでそれは素晴らしいライブで大興奮のるつぼ。しかし、それが彼らのラストコンサートとなったのでした・・。
メンバーを聞いて驚かないよーに。ボーカル・小坂忠(その後ミュージカル“HAIR”に、そして歌手、今は牧師?)、キーボード・柳田ヒロ(後、音楽プロデューサーで前田美波里と結婚したり)、ベース・まだ慶大生だった細野晴臣!(言わずと知れた、その後はっぴぃえんどそしてYMO!&音楽界のカリスマに)、ドラムス・やはり慶大生の松本隆(はっぴぃえんど、そしてメガヒット作詞家!に)、あとギター・菊池さんて人がいたけど。LPレコードが一枚出てて今聴いてみたいかも、“TANJIR”という曲とか覚えてるし。
一緒に食事に行ったりメンバーの家に遊びに行ったり(私らまだダサかったし、ガキ扱いされてたから健全なものです。カッコいい彼女とかも一緒だったり)思えば初めてミュージシャンとコミュニケートできたってことだったんすねー、クーッ(涙)。で、細野氏とはまた再会すことになるのですが、それはまたいずれ。
何だかここまで書いたら、他のバンドどうでもよくなっちゃったなあ・・。ま、世の中的には、MOPSやGOLDEN CUPSが、それっぽいファッションとちょい黒っぽい雰囲気でウケたりしてましたが、私らちょっとシブかったもんで、ひたすら毎週のようにあった“野音”(日比谷公園野外音楽堂)コンサートとかに通ってましたわ。
HAPPNINGS FOURとか、ギターの成毛滋のバンド、ジョー・山中のいたFLOWER TRAVELLING BANDやセッションなど、あまりTVに出ない実力&カッコいい人たちが毎回出演してて、見に来る方も気合入っておしゃれしてて、そのファッションを見るのも楽しみで、まあ、一種のROCKを愛する人たち(まだ少ないもんだったんす)の社交場みたいな雰囲気もあったわけね。結構おしゃれでのんびりピースな感じだったよなー。
じゃあ、ここで“どうでもよくない”バンドをひとつ。それはCAROL。いやー見てるんすわ、デビューしたてのホカホカのところを。72年くらいでしょうか、TVでチラッと「こんなバンドが・・」と紹介されたのを見てビビっと来て、銀座のYAMAHAでのプロモーションに飛んで行ったけど人がいなくて至近距離で演奏見ちゃったもんねー。この時は、やっと出来たボーイフレンドと見に行った。ROCK話ができるヤツだったけど実は吉田拓郎や小室等、岡林信康なんかの方がもっと好きだったみたいで、フォーク嫌いな私としては思えばヤだったよなぁ。
で、CAROLはメッチャカッコよかった! 音もだが、4人ともヨレた黒の革ジャン革パンにリーゼント姿はBEATLESのハンブルグ時代を髣髴とさせ、矢沢氏は目の縁にバンドエイドを張っていたのが何だかすげーシビレましたわ。ベースのジョニー・大倉氏もちょっとふてぶてしい感じがJOHN LENNONっぽくてカッコよかったし。私が思うに、今までBEATLES狙いのバンドは数々あれど、伝わってくるものとしていい意味でCAROLがいちばん「ぽい」んじゃないのかなあと。
このクールな印象があるから、その後のYAZAWAって栄ちゃんって何だかなぁ・・、って感じ。全然興味持てまへんでしたわ。大倉氏が、最近当時の話を本にしたそうだから読みたいかも(大倉氏には、トンデモナイ偶然で母がお世話になってるし。この話もまたいずれ)。ま、“アンチYAZAWA伝説”らしいし。でもさ、あの「成り上がり」っていうのは当時コピーライターの糸井重里氏が書いてるんすよねー、そりゃー当然つかむよねー。
何だか、「日本のGROUP SOUNDS その2」なんて銘打った割には、アナザーサイドばっかりになってしまいましたが、ま、こっちの話の方がレアだからいいっしょ、ってことでヨロシクぅ!(誰のマネだい)