2003 12 04  

7・ROCKな女たち・60’s(その1)

―――“新しい顔“の女たち・それは「美人」じゃなかった―――

 60年代のROCKという新しいムーブメントの周辺も当然すべて斬新なことばかりで、既成の価値観を“ひっくり返しゆさぶる”(それがROCK!ということ)ものばかり。女の顔カタチの基準も変わった。そして、それは私にとってもちょっぴり幸いなことだったんす。
カワイイと言われて育っても(誰だって小さいうちはカワイイやい)、年頃になったら「そんなにカワイクはないようだ・・」と感づいた私。だって中学時代、ひまわりのように明るいとか、バラのように美しい、もてはやされる美形女子が厳然と存在していれば、当然「私はそうではない」とわかるさ。
ところが、だ。ある日母親の買ってきた女性週刊誌を見ていた私は、あるページで目が釘付けになった。イギリスで大人気というモデルの紹介で、それはかのJean Shirimpton。エラの張った四角い顔、強いメークの大きく見開いた目は、愛嬌や媚びとは無縁の素っ気ない表情、手足は長すぎるくらいでダイナミック。それまでの“花のように優雅な美人モデル”とはまったくタイプを異にしたわけっす。
エラ張り顔を気にしていた私の乙女心は「これもアリなんだ!」と、光が一筋差し込んだ気がした。だからJean Shirimpton大好きになり、当時はあまり売っていなかった外国ファッション雑誌を生意気にも買い始めたりしたし。
そしてその後はTWIGGYだ。これも栄養失調のような体とお人形のようなキュートびっくり顔という、またもや“新しい”ものが出現。大きなタレ目は、「似てるね」(そこだけだけど)とクラスの友人に言われ、あまり好きではなかった自分の目も「そうか、これもアリなのか」と。
ああ、ついつい“自分認識歴”をご披露してしまったっすが、やっぱし今まで影響されてきた人や物ごとというのは、すごく価値観や美意識の“根っこ”になっているものだよね、と、書いていて今更のように感じた次第。
じゃ、当時のミーハー&ファッション行きまっしょ。Jean Shirimptonは当時の売れっ子フォトグラファーDavid Bailey と結婚。Davidは60年代の英映画“Blow Up”のモデルとも言われているくらいのカッコいいモテモテ男。その後カトリーヌ・ドヌーブとも結婚したり、その後、日系のモデル、マリー・ヘルビンとも。
この“Blow Up”という映画はストーリーは結構意味不明なんだけどスタイリッシュな雰囲気で、主人公のDavid Hemmingsも怪しくカッコいいが、Vanessa Redgrepeもまだ若くミニスカート。このミニスカートの低いヒップボーンのはき方がカッコよくて真似して自分でつくったわ。脚が太くて膝上なんか見せられない私だったが、かなりのローウエストにすることによってスカート丈を短く見せられ嬉しかった。「どうにかしてミニスカはきたいっ」という一心で、独自の研究をしていったのかもと考察するのであります。
そういえばその映画には、Jane Birkinもチョイ役で出ていたけど(あ、かの伝説のモデルVerushkaも出てたわ)、アーパー(パアの逆ですな)なモデル役といったところ(“Knack”という英映画にも同じような感じだったと)で、まだ全然どうってことない印象。当時“白痴美”って言う言葉があったけど(今はあまり使わないっすね)まあ、BB(Brigitte Bardot)のことなんかもそういう表現だったり。当時セクシーはイケナイことだったわけだから、良識あるオトナはそういう言葉で片付けようとしたのかも。今やいい女代表格になってるらしいJane だが、いきさつからすると“たまたま”って感じがしてしょうがないのは私だけかなぁ・・。けなすわけじゃないけど、一般女子が憧れたいような“いい女”ってよりもどっちかいうとハチャメチャで、まあ“ROCKな女”だすよ。Serge Geinsburg無しではあり得ないってとこもね。これは後日ちゃんと書くかな。
ええと、Jeanの妹のChrissie ShirimptonもモデルでMick Jaggerの最初のガールフレンドだったり。こういうBEATLES、STONESのプライベート写真や、ツーショットの女の子を見つけては、憧れをもって目を皿のようにして見ていたものだす。ま、いわば今でいうパリやミラノのジャーナリスト、スタイリストなどのファッション・スナップ、昔はコレっきゃなかったって感じかもね。
BEATLESでは、Georgeと付き合って結婚したPatty Boydも売れっ子モデル。よく当時のファッション雑誌に出てて、やはり美人ではなく下ぶくれで愛嬌のある顔、その後Georgeの親友だったEric Clapton と結婚して曲つくってもらったり虐待されたり(?)。
Johnは結婚してたのを早々にオープンにしていて、アートスクールからの恋人だったCynthia Lennonでしたが、プラチナブロンドでも落ち着いて知的な感じがする雰囲気は、さすがJohnと思ったものです。
PaulのJane Asherに関しては先に書きましたが貴族系、そうね、PAULって昔から女はエリート志向かも。亡妻Linda Eastmanは、かのKODAK社の娘だったし。PAULって結構自信ないヤツなんじゃないかなぁ、コレ女の直感だけど。
そういえばMickも、その後貴族出の歌手Marianne Faithfulとつき合う。カワイイお嬢サマが不良とだからそらースキャンダラス。で、ドラッグとかでどんどん悪くなっちゃって沈んで、数年前に突如“復活”。天使の声から泥沼のような声になっていたのが、地獄を見た人の迫力って感じでROCK的にはそれはまたカッコいいかもだけどね(METALLICAの“Re Lord”、The Memory Remains で唸っている怖い声さ)。
そして最初はBrian、次はKeithの彼女になったけどMickとも付き合ってたらしいAnita パレンバーグっていうのもいたわさ。やっぱりモデルでカッコ良すぎて憧れなかった(?)けど。
あとDAVE CLARK FIVEのDave Clark の彼女で、イギリスの人気TV音楽番組の“Ready Steady Go!”のDJだったCathy McGwanという女の子も好きだったわ。MODSっぽい感じして黒い髪で独特のセンスだった。うん、やはり辛口系かも。
てな具合でとにかく60年代はまだ書き切れないくらい、今でも雑誌などで特集すれば必ず登場するようなカッコよくて気骨ある、歴史に残るようなメンツの女がゴロゴロいたわけっすわ。青春時代ROCKと込みでそれを“凝視”しまくった私です。「志だけは高く」なってしまったのだと。もちろん当時は太めで垢抜けない女子、でもその時からの「ちょっとでもいいから、あんな風にカッコよくなりたいっ!」という気持ちが、ン十年たった今でも持ち続けられる羽目になちゃったのも、いい女見すぎて理想高いもんで「いやっ、まだまだだーっ・・・」って性懲りもなく思うのかもっすねー(ま、きっと棺桶に入るまで思ってるさ!)。
★これがJean Shrimptonだ。