2003 09 05  

2・まずは、BEATLESから(その2)

―――カッコいいということを知ったのはビートルズからだった―――

 あれ? 何だかROCKしてないなあ? じゃあね、ここではBEATLESがどれほどカッコよかったかって話ね。
中学2年の私は、まずBEATLESの音にシビれて、そしてそのルックスを見てまたびっくらこえたのだった! カッコよかったからだ。その上、曲が自作ぅ〜〜??!! 
そんな人間はそれまで存在しなかったのだ。プレスリーにしろ誰にしろ、素晴らしい“歌手”はいっぱい居たけど「自分たちでつくった歌を自分たちで歌って演奏もして、それが素晴らしい曲でその上素敵なルックスで・・・」そんな『信じられないような人間がこの世にいるんだ・・・』と、まるで奇跡がそのまま存在したようなことに素直に驚き感動していた(それは私だけではなく世界中がだったけど)。
だから私は、彼らによって初めて「カッコいい」ということがどういうことなのかをインプットされ基準ができてしまったのだと思う。
ファッション的なことでは、初期のあまりに特長的な仕立てのいいスリムなスーツ姿は、それまで“背広”なんて“大人の制服”で全部同じように見えたのに、何だかよくわかんないけどすんごくカッコいい服と認識させられてしまった。ちょっとでも真似したいファン心理で、高校の頃には彼らの着ていたテーラードジャケットにスカートを組み合わせ「こんなんが欲しい!」と、マンガのような絵だけどデザイン画みたいなのを描いてたっけ。
 当時、歌手や芸能人の服といえばギンギラの“衣裳”がお約束だったのだが、BEATLESにこの上品でスノッブなスーツを着せたのは、マネージャーのBrian Epstein。
 彼はお金持ちでいいとこのボン(でもハンサムではない)、小キタナイ若造であったBEATLES の音楽センスをいち早く認めた目利きでもあるけれど、音楽だけにとどまらず彼ら自身のルックスの魅力をも最大限に引き出した独特のセンス(後日ホモ説も出たのは「なるほど」とも言える)もたいしたものだったわけだ。
 だからハーフムーンにつながる私のテーラード好きは実はBEATLESからなのだす。知らないうちにBEATLESでテーラードのお勉強しちゃったってわけっす。
 最初の映画“A Hard Day's Night”なんか当時50回以上見た。今見てもかなりクール、音楽映画としては今だに名作だすな。封切りは銀座の松竹セントラル、ちょっぴりモッズの女子っぽくおしゃれして(ま、当時の高校生だからたいしたことないけど)日曜日に朝から行って、それが当時のBEATLESファンのお約束で溜まり場。数少ないBEATLESファンの友達と、親につくってもらったサンドイッチ持って出かけ何回も観て、スクリーンに向かって叫んで一緒に歌って、まっすぐ家に帰ってまたレコード聴いてた。思い出してみると映画館の中は全然満席なんかじゃなくてマイナー感あったし。
 この映画の時のBEATLESファッションかいちばん好きかも。で、そういう洗練された上等なスーツ(でも足元はサイドゴアブーツ、これ画期的だった)なのにステージでの演奏やリハーサルシーンはもちろん、走るわ、跳ぶわ、お茶目するわで、今思うと「服は見かけだけでなく、行動や態度によって引き立ち方が違うものだ」なんつーことを体得してたかもなのね。
 だってね、私halfmoonでテーラードつくりたかった動機は「夜遊びに着る服」が欲しかったんだもんね。ええ、80年代中盤でしたからディスコで「きれいに仕立てた上質のスーツでグチャグチャに踊ってたらカッコいいじゃん!」って。ええ、例の落下事件の“トゥーリア”とかでよく踊ってましたわ。「よいコがテーラード着てたらただのユニフォーム」、「ワルが着るとゾクッとする味が出るのさ」ってことなんだけどね(あ、スピリットの問題っすよ)。
だってBEATLESこそ、とんでもない不良だったんすよ。だ・か・ら・あの上品テーラード着てもカッコよかったんだよね。その話は次の3・で書くけど。
で、話は戻るけど、気がついたらその端正な服づくりが認められてhalfmoonは、“お仕事ウーマン御用達”(?)になってた・・・。でも私「fそれ違うんだよねーっ」って。それマジに着てもしょうがないっしょー、って。シャレが通じなくなった頃から辞めること考えはじめました。コレ今まで言ったことない本当の本音っす。
この世にBEATLESファンは多いだろうけど、何もかも投げ捨ててBEATLES(とその周辺の音楽や現象も含めてだけど)にずっぽり行っちゃった私。
今でもBEATLESの曲がかかると、あまりに歌詞おぼえてて歌えちゃうんで自分でもビックリするし。でもね、哀しいかな、英語の意味わかってなかったし、今は歌いながら意味わかるしで「すげー、こんなこと歌ってたのーっ!! あの時彼らは20ン歳・・・、やっぱ天才だわ・・・!」なんて、今頃えらくマヌケな感動をすることもゴザイマスが。
そんなオタッキーだったから、オトナになってもそんじょそこらのBEATLESファンと話なんかしないのさ。よく「私もファンだったの! 昔、よくボーイフレンドとBEATLES聴いてたわ〜」なんて、バカヤローそんな青春のひとコマ程度のファンと一緒にされたくないやいって、私は70年(解散)以降、ほとんどBEATLESファンだったということを口にすることもなく、自分から曲を聴くこともなくなった(今でも彼らのCD持ってないもんね。時々有線は聴くけど)。ま、半端じゃなく全身全霊で燃えつくしたと。
 ★★お宝公開★★1966年・BEATLES日本公演の時のチケットだす(その上、これ私の誕生日!)。2日間行った。高校の先公(ハイミス女教師)に呼び出され「横森さん、ビートルズ行くんですか?」「行ったらどうなるかわかっていますか。退学かもしれませんよ」って言われたけど、もちろん「行きます!」って。退学にはならなかったけど陰湿にずっとイジメられましたわ。そんな時代。あ〜何だか『ROCKの化石』ってより、『ROCKの殉教者』ってか。