第五章
<「カラス族」は永遠に・・・?!>
2001/5/16
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カラスといえば「黒」、そしたらまず“黒のファッション史”から行くかなっ、と言うのは、今、こんなに当たり前のように子供からオバサンまでみんな黒を着まくっているけれど、ちょっと前まで黒っていう色は、そんなにポピュラーな色ではなかったことを思い出したのだ。
今そんなこと聞くと不思議な気がするでしょ? ついこの間、ほんの私が乙女の頃(60年代後半だ!)でも全然違うんだから。これを語るのもまあ“化石”のお役目ってもんです。
その後80年代に“カラス族”なるものが出現して、「黒」という色が一般化するきっかけとなって、そのご本尊といえばコムデとワイズ、そこいらへんの秘話(?)から、21世紀の今残っている“族”の生態まで行っちゃう。今回も2回連続になりそうなのでよろしくーっ!!
さて、いまや定番というのもはばかられる誰も持っている“黒のタートルネックのセーター”も、当たり前のように昔からあったわけではないのよん。当時、乙女らしからぬ生意気なセンスの高校生だった私は、ビートルズやビートニクの影響で“黒のタートルネックのセーター”が欲しくて欲しくて欲しくて、デパートなどを探しまわったものでした。あ、まだ当時はブティックも何もない時代です。お買い物といえばデパートか町の洋品屋さん(懐かしー! でも今思えばあれはセレクトショップの原点かも・・・)、そしてその“とっくり首のセーター”(昔はこう言ったのだよ)は、ただの男物のどちらかというと、おしゃれでも何でもない、実用、いや下着売り場に近いようなところにありました(女物では見つからなかった)。見つけて嬉しかったけれど、何だかそこに居るのが、年頃の私としては心地悪かったでしたっけ。
まずその頃は“タートルネック”自体がおしゃれなものではなかった。まあ、首から風が入らないようにする実用着、それに「一枚着るだけで済むもの」っていう不精ったらしいというか、貧乏くさいイメージもあるっていうか。冬の「魚屋さん」や「八百屋さん」のお兄さんなんかが、とっくり首のセーター(黒じゃなくて“うぐいす色”とか“茶色”とか、なんだかサエない色)、前掛けにゴム長、というイメージがあったなぁ。
外国でも、“黒とかのタートルネックのセーター”を着ていたのは、画家とか詩人なんかのアーチストとか、レジスタンス地下組織の戦士とか、やはりちょっと「斜めに構えて貧乏な感じ」ってかな。
そして70年代に突入したら、ファッションというものがめくるめく色の洪水とともに台頭して来て「黒」はあってもポイントカラーっぽく「それまで世の中にそんなにいっぱい色は無かった!」という勢いのサイケやネオンまでカラフル全開大会! みんな競うように色を着まくった。だから80年代になって、ワイズやコムデギャルソンが台頭して、「ファッション=黒」のイメージが出来たのは画期的だったわけ。
それが“カラス族”といわれたのは、それまで“黒づくめ”は、喪服とか不吉なイメージでしかなかったから異様に見えたのね。それに当時はシルエットがビッグで平面っぽいパターンの服、余分がバサバサしたイメージで、それが集団で歩いていたりすると“カラス”、その上“素っぴん”だったりするとかなりコワイもんあったり。
考えてみたら、本当にそれまで「黒」という色は、普段に普通には着ていなかった。だから、“カラス族”だ、“宗教団体”だ、言われながらもあの黒一辺倒の時代の洗礼を受けてからこそ、「黒」がこんなにベーシックでポピュラーな色になったのではないかと思います。
なーんちゃって、今回の前振りはきれいにおさめましたが、次回は斬るよー! “コムデ女”の分析、“カルチャーおばば”の「黒」、ファッション関係にはびこる「黒」・・・。
今回、ちょっと時間があいちゃったので、次回はなるべく早く(10日〜2週間くらいの目標)アップしますです。では、お楽しみに〜〜!
次号へつづく