第四章 <“いい女ブーム”のあの人は今・・?>Part 2
  2001/3/1 update


 さて、浅野ゆう子さんの続きです。ええっと、私はつねづね<時代性をふまえたおしゃれの3大ポイント>というのは、「ヘア」「メーク」それと「靴」と思っていて、今度出る本(「おしゃれな女性になるための63のヒント」三笠書房・¥1200・3月初旬発売)にも、それはしっかりと書いてあります。だいたい「洋服」のデザイナーがこういうこと言うんだからかなりホントってことって感じするでしょ(?)。 だからね、早い話この3つがキマってれば、はっきり言って洋服なんかそんなにガムバらなくても、なんだかカッコついちゃうのよ。でも<この逆は絶対に有り得無い!>のさ。だいたい、洋服に気をつかっているのに何だかカッコよく見えない人にこのパターン多し。テレビで見てると、タレントさん、女優さん、片っぱしからこれにあてはまりまっすー。

 前置きが長くなりましたが、浅野ゆう子さんのことでは、この<3大ポイント>という私の“おしゃれ理念”を決定的にする、あるテレビ番組を偶然見てしまったのです。
 多分5〜6年前だったと思うのですが、”ブーム“からはとっくの後で、ま、オトナの一女性としてフランスを旅するものでありました。おいしいレストランや、ブティックなどを紹介する中、そこに今で言うフランスでの”カリスマ美容師“のサロンへも行ったわけです。そこでその人に「髪を切った方がもっと素敵になる」と言われたのだけれど、彼女は「明日までに考える・・・」と、たじろぎ、結局一晩悶々と悩んだ末「切らなかった・・・」のでした。

 それまでなんとなく見ていた私は、ここで急にテレビに向かって身を乗り出し「なあんで〜ぇ?!何で切らないの〜お?」と、怒った。だってフランスの誇る(その人の名前は覚えていないけど)トップ・ヘア・スチリストですよ〜ん! そのうえ自分のこと先入感もなく見てくれて(多分どういうタレントだとかいうことは知らないでしょうから)、「こうしたらもっと美しくなる!」って言ってくれているのにー。こんなチャンスめったに無いじゃない? もし、万が一、気にくわない結果になっても(そりゃ“趣味の違い”ということは、あるかもしれないから)、髪の毛なんて伸びるものじゃない? 取り返しはいくらでもつくよ。それに、そういう人が「素敵にしてくれる」って言うんだったら、いったいどういう自分になるのか、フツーはすんご〜〜い好奇心や興味がおこると思うんだけれど・・・。

 今思ってみると、この時、彼女髪を切っていれば、今頃もっと違うパターンになってたかも・・・、なんて思えるくらい“象徴的”な事件(?)に思えますですねー。ましてや浅野さんていうのは、実は“くせっ毛”で、あのロングのストレート・ヘアにする為には、えらい苦労しているという話を、昔何かで読んだことがありました。今でもそのイメージは変わらないわけだから、日々その努力たるやたいへんなものでしょう、お疲れサマなことです。“くせっ毛を生かしたカット”なんて外人にとってはお手のものって感じがするし、かえすがえすも残念なことだと思います(私が思ってどーする?)。

 最近、時々テレビなどでお見かけする浅野さんは「やっぱりツラい・・・」っすよー。服の趣味もなんだかはっきりしてないけど、諸悪の原因は「髪の毛が時代遅れだから、何着てもダメ」という前述の私のセオリーに当てはまりまくり。ドラマでお母さん役とかだと、そういう人だと現実に居るわけだからこれは「ハマっています」でOKなんでしょうが。
 でも、これってただの非難ではなく「ああ、もったいない!」って話よ。だって背も高くてまだナイス・バデーだし、当然お顔の造作自体はちゃんとしてるという、“人も羨む条件”なのに、「何でこうなっちゃうのお〜?」ってさ。あと考えられることは「よっぽどアタマのカタい保守的な男とでも付き合っていたのでは?」ということかな、でも浅野さんはゴシップもあまり無いので知らないけれど、女性のおしゃれを阻む原因としては、よくありがちなことっすからね。
 
 この間なんか週刊誌のパーティ・スナップで、“浅野ゆう子さんと野際陽子さんのツー・ショット”っていうのがあったけれど、どう見ても、はるかに年齢も上の「野際陽子さんの圧勝!!」、二人とも黒いドレスだったので、あまりに比較しやすいのもカワイそーだったくらい。野際さんは服のセンスもいいのだけれど、とにかくいつ見ても「ヘアが今風に素敵にキマってる!」のよね。ある程度の年齢になると、これは“至難のワザ”になってくるの、だから、ほんとうにたいしたもの、ずっと素敵でいてほしいっすー。

 ところで浅野といえば、“ダブル浅野”だったもうひとりの浅野温子さんも、ちょっとツラい。決定的だったのは、去年大晦日のNHK「紅白歌合戦」でしょう。紅組を応援に来たそのカッコは・・・、“銀色に輝くスパンコールギラギラのチューブトップにヘソ出しローウエストパンツ”、ええ、確かに「最新トレンド“80’s”をバッチリ押さえている」って狙いでしょう。でも「何が哀しくて、あんたがそんな格好しなくっちゃいけないのさー?!」と思ってしまいましたさ。別に40過ぎたら女はヘソ出しちゃいけない、とか、そういうことではなく、早い話“無理なく似合っていれば”別にいいのですが。じゃあ“無理”がどこにあったかというと、そりゃ年齢にしてはスタイルもいいし若々しい、でもね、それが臆面もなく全面に出てしまって「ねぇねぇ、私ってまだまだ若いコに負けないくらい全然イケてるでしょー? 見て見てぇー!」ってんでは、見ている方は引いてしまわざるを得ませんですよー。

 そこまで居直られると、逆にアラ探ししたくなるのが人間の常。それまでは、別にそんなに・・・、と思っていたのに、よく見てみれば、あのボサボサ眉は、当時だったらナチュラルに見えたでしょうが、今は、手入れしてないのを何がナンでも良しとする“依怙地”感が漂うし、なんたってそのロングヘアは、うっとーしいっすよー。そりゃー、ロング・ヘアはまた流行る傾向はあるみたいさ。でもね流行は繰り返すといっても、まったく同じということはまず無くてカットとか色とか全然違うしー、それに若くないロングはヒジョーに美しく見えることが難しい! これは理屈じゃなくてデータだから仕方ねっす。

 ま、そんなこんなで、ファッション的には、いかに“ヘア”が全体の雰囲気を牛耳ってるか、ってことをまざまざと思い知るお二人の例になってしまいました。  が、しかし、ここまでくると、記憶力の良い方だったらなんだかちょっと寒気がしてきませんか・・・? はい、思い出すのはこのエッセイの<前書き>ですね・・・。今読み直してみれば、何と! ドンピシャに当てはまる話だったのですね。コワイですね・・・、やっぱり“ホラー”でしたねこれは・・・、では、また次回、サヨナラ、サヨナラ〜!

<補足>:要するに、ずっとおしゃれでいたいならば、女は「自分がいちばん若くて美しくおしゃれだった頃」(だいたい20代中盤くらいでしょう)をズルズル引きずってはダメだということ。自分のその時代が良ければ良いほど死守したくなるんだろうけど、どんどんハズれて“圏外”になっていくだけなのさ・・・。
 「じゃ、どうしたらいいの?」って、そうね、失敗してでもいいから、ちょっとでもいいから、自分の外観を常に“変える”努力をしつづけることね。それっきゃ無いの、でも楽しいじゃない? 誰にだって変身願望はあるんだから。
 じゃ、もっと細かいアドバイスが欲しい人は、それは私の本を読んでねー、ってことで!


次号へつづく